京法メモ

京都大学法科大学院を卒業しました。令和5年司法試験に合格しました。

司法試験対策で役立った教材リスト

司法試験受験の際に使っていたオススメの教科書・参考書・判例集をまとめる機会があったため、ブログにも残しておくことにしました。ロー入試対策としても司法試験過去問に関するもの以外は有用だと思います。

 

2023年11月21日

無事に合格していました。再現答案は作れなかったので無いですが、大体の点数順位を最下部に載せておきます。

 

憲法

○論文対策

憲法 事例問題起案の基礎 岡山大学出版会

→事例問題の解き方・書き方を丁寧に説明してくれる参考書。事例演習の前の1冊として最適

憲法日本評論社

→簡潔で分量も少ないが、必要最低限のことが書いてあって使いやすい教科書。薄いので何度も読み返すことが出来る。

 

憲法の地図 大島

→最新判例はカバーされていないものの、主要な判例はまとめられており、判例だけでなく主要な論点についての解説もされている。それぞれの判例が審査のどの段階で使えるのかが明確になっており、非常に使いやすい。判例集というよりは判例重視の論点解説書のようなイメージをしている。試験前はこれを何度も読んでいた。

 

判例から考える憲法 

→演習書。事例問題について複数の立場からの検討がされており、解答例自体は無いものの、それに近い解説がある。アガルート等が販売している参考答案があればなお便利

 

憲法ガール remake addition / Ⅱ

→参考答案がある司法試験問題集。解説ではかなり高度な部分もあり、参考答案も時間内には到底不可能+学生には書けないような箇所も存在するが、この論点にはこういう攻撃防御方法があるのかとかなり勉強になる。参考答案そのものを目指すのではなく、道具を増やすイメージで利用するのが良い。

 

○短答対策
伊藤塾 呉明植基礎本シリーズ 憲法

→人権以外の短答知識の総まとめとして利用。簡潔に書かれており何度も読み返すことが可能。

 

※過去問対策は全科目ぶんせき本を利用。ガールシリーズは副読本的なイメージで利用していた。 

 

行政法

行政法解釈の技法

→①行政行為論や救済等の論点についての大島解説、②主要論点についての橋本解説、③予備試験についての伊藤解説および参考答案、の3部構成。どの章も物凄く有益であり、事例問題の検討に特化している。下手をすればこの1冊だけで何とかなるのではないか。司法試験過去問の演習と共に本書を用いて予備試験の問題も解くと幅広く勉強ができる。令和5年司法試験では最近予備試験で出た論点が出題されたこともあり、解いておいて損は無いと思われる。橋本行政法判例ノートどの相性が良い。

 

・基本行政法 

→基礎知識はこの一冊で十分

 

(・行政法総論を学ぶ 曽和俊文

→総論に絞った本で物凄く読みやすく、尚かつ理解が深まる。しかし紙版は現在絶版となっているため新品では買えない。法学教室連載の書籍化であり、救済法分野は書籍化されていないためMARUZEN ebookなどから見るしかない。)

 

(※司法試験段階では発売されておらず未利用

興津征雄 行政法

行政法総論分野について丁寧かつ詳細な記載がある。試験対策という意味では特に二部が有用だと思われる。過去問演習で特定の論点が登場した際の辞書的な利用に適しているのではないか。)

行政法ガールⅠ、 Ⅱ 

憲法ガールと同様に深く検討がされており勉強になる。ただ、憲法ガールよりは解答例・解説共に抑えめの印象。論述をそのまま覚えたり、参考答案を目指したりすることがまだ出来る気がした。

 

・基礎演習 行政法 土田

→1冊目の基礎的な演習本として最適。ただ上記の技法が出現したため、あえてこのステップを踏まなくても何とかなるような気がする。

・事例研究 行政法

→2冊目の演習書としては解説が丁寧で最適。しかし過去問演習+上記の技法での予備試験演習をすれば十分であり、さらにこの問題集を解くのは行政法対策が過剰な気もする。

 

民法

○論文対策
・趣旨規範ブック民法 辰巳法律研究所

→主要論点の最低限のまとめに使える。直前期はこれを何回も読む作業をしていた。一元化教材として利用している人が多い。

 

民法の基礎1

民法総則はこの本のシェアが圧倒的であり使わざるを得なかったが、学部などで用いていたレジュメ(自分は潮見先生)をメインに使っており、同書は辞書的に用いていた。基礎という割にかなり論点に踏み込んでおり、補論部分はかなり高度な部分も。

 

・講義物権・担保物権  安永

→解説が丁寧かつ穏当で非常にわかりやすい。判例の解説もありがたい。ただ総則と同じくレジュメ(山本先生)をメインに使っていたため辞書的に利用。

 

・プラクティス民法債権総論

→著者による授業の音声と書き込みがあったので同書をを利用していた。短文事例が大量に載っているがその解説は無い点、特定の論点がどこに載っているか分かりにくいことがある点から、同書単体では使いにくい可能性がある。正直ストゥディア債権総論で十分な気がする。詳しいものが良ければ中田債権総論が丁寧だがいずれにせよ辞書的に使うことになりそう。

・潮見イエロー1 2

→契約法・不当利得は潮見イエローで十分。不法行為も同じく潮見イエローで十分。ストゥディア民法でも十分かもしれない。
契約法について辞書的に太いのを用いたければ中田契約法がおすすめ。わかりやすい。

 

・呉明植 基礎本シリーズ 家族法

→簡潔でわかりやすい。薄いので一気に読め、周回できる。改正法にも対応している。論文対策にも短答対策にもなる。


民法はちょうど良い問題集が少ない

・ロー入試段階では「ロープラクティス民法1 2」から半数ほどピックアップし解いていた。
・司法試験段階ではローの授業(民法総合・事例演習の問題)の復習を主にやっていた。ただ適切なノートや解説がなければ独学は不可能。

・新考える民法1〜4 平野

→司法試験の数ヶ月前から友人と一気に4冊消化(答案作成まではせず、毎週数問ずつ読んできて疑問点を交換し合う方式。債権各論は全部をやった訳ではなく一部分のみ)した。こねくり回した問題が多く、どこまで役に立ったかは正直のところ不明だが、見たことない問題を見ても動じにくくなる。難易度はかなり高い。過去問演習が終わって他の問題集をやりたければの選択肢になりそう。

 

○短答対策
民法全 潮見佳男

→網羅性に不安を感じたため、直前気に一気に読んだ。基本的な知識が入ったあとの確認に使うのが良さそう。担保物権あたりはかなり薄いので注意。

 

刑法

○論文対策
・呉明植 基礎本シリーズ 刑法総論、各論

→少し引用される学説が古かったり不十分・不明確な部分はあるが、他の教材や授業から適宜修正すれば足りる。何よりスラスラ読めるので何度も読み返すことが出来る。

 

・基本刑法Ⅰ、Ⅱ

→思いのほか太いのが気になり利用していなかった。それが気にならないのならこの2冊を選ばない理由は無さそう。

 

刑法総論の悩みどころ、各論の悩みどころ

→橋爪先生の緻密な議論が好きで何周も読んでいた(各論は書籍の発売以前は雑誌連載しか無かった)。主要論点についてかなり踏み込んだ検討がされており、刑法が好きな人にはおすすめ。各論の財産犯に関するいくつかの章はどの本よりも理解が深まったと思う。図書館等で借りてその部分だけでも読む価値あり。
 最近増えている学説問題対策にもなる。しかし基本刑法や呉明植基礎本で十分に対応可能なので無理に読む必要は無いと思う。共犯論や過失論については自説推しが強いため注意。

 

・応用刑法Ⅰ、Ⅱ  大塚

主要な論点について、事例問題を解く際のポイントが非常に詳しく紹介されている。基本刑法を利用していなかったが、問題なく使えた。元は法学セミナーの連載であり、Ⅰは書籍化がされたものの現時点でⅡは未刊。図書館等でコピーするしかない。

・刑法事例演習 メソッドから学ぶ  十河

→掲載問題数は多くないが、事例問題を解く際にどのように考え、論を組み立て、答案を構成するか、極めて丁寧に解説されており1冊目として最適。

・刑法事例演習教材

→50問近くの比較的長文の事例問題が掲載されている。友人と自主ゼミをする際に使っていた。解説は簡潔だが必要最低限のことは書いてあるため、他の教科書と共に読み込めば独習可能。レベル感としては司法試験くらい。

○短答対策

特別な教材は無く、他の科目と同様資格スクエアの短答攻略クエストを回していた。

 

会社法

会社法  高橋美加ほか

→いわゆる「紅白本」。通常の教科書と異なり、試験で聞かれそうないわゆる論点が登場した際には、「○○か」などと当該論点が疑問形かつ太字で記載されており、効率よく勉強ができる。条文の索引がある点も非常に便利。意外と情報量は多く何周もするのは骨が折れる。
リークエ、紅白本、田中亘会社法のいずれかを用いる人が多いが上記の点に惹かれ紅白本を利用。ローでは江頭の利用が推奨されるが太すぎるため辞書的にしか使えない。

 

・趣旨規範ブック民事系

民法と同じく有益。直前期はこれを何度も読んでいた。

 

・商法事例演習教材

→ローで指定された教材。ローで扱うメイン部分は解説が無いため、どこかのローや予備校の解説が必須。

 ローで扱う事例問題とは別に少し短文の演習問題(定期試験の過去問らしい)が数十問あり、解説がついている。直前期はこの演習問題と解説を何度も読み返していた。

 

・ロープラクティス商法

→上記の事例演習教材が使いにくい場合には、論点が網羅的で解説も比較的わかりやすいためおすすめ。

 

民事訴訟

・リーガルクエス民事訴訟

→共著の弊害も少しあり、人気・不人気はかなり割れる。しかし必要十分なことは全て書いてあったように思う。

 

・ロジカル演習民事訴訟法 越山

→問題数は少なめだが、教授による参考答案と極めて丁寧な解説がある。民訴が苦手な人におすすめ。

 

・事例で考える民事訴訟法  名津井ほか

法学教室連載の書籍化。内容はかなり高度な部分もあり、刑法の悩みどころに近い印象。

 

・ロープラクティス民事訴訟

→事例演習というよりは網羅性を重視して参考書として読んでいた。読んでいただくとすぐわかると思うが、共著による弊害がかなり大きい。

 

・最新重要判例250 民事訴訟法 山本和彦

→1人の教授による一貫した解説が特徴。百選のような判決要旨の下に、その判例を1行ないし数行でまとめた文が記載されている点が大変便利。明らかに不要な論点については除外して直前期に一気にさらった(令和5年は極めて特殊な論点が出題されたので、全判例を見ておくべきではあった)。

・趣旨規範ブック民事系

→同じく有用

 

刑事訴訟法

・基本刑事訴訟法

→基本刑法の刑訴版。極めてわかりやすい。リーガルクエストと比べ網羅性は劣るが、問題演習や過去問演習をして載っていない論点はその都度確認していけば、同書で必要十分な気がする。他書と比べ圧倒的に読みやすい。

 

判例講座 刑事訴訟法 2冊  川出

→刑法悩みどころの刑訴版かつ判例を少し重視しているような本。解説が極めて丁寧で理解が深まる。基本刑訴で足りない部分を補うことが出来る。

・エクササイズ刑事訴訟法

→刑法事例演習教材の刑訴版のような本。論点がランダムに埋め込まれた事例問題が十数問掲載されている。問題数は少し少ないが主要な論点は複数回登場するなどメリハリがある。解説も簡潔でおすすめ。

・伝聞法則に強くなる 後藤

→名前の通り伝聞証拠に特化した本。苦手な人にオススメ。伝聞が出題された年の司法試験の解答例もあるが、複数人の弁護士が分担しており、書き方が若干異なる点が玉に瑕。

 

国際私法

・国際関係私法入門 松岡

→国際私法、国際民事手続法、国際取引法が1冊にまとまっており非常にコンパクトな教科書。説明も簡潔でわかりやすい。LQでもよいが民事手続・取引分野は別の教材でカバーする必要がある。

・1冊だけで国際私法  辰巳法律研究所

→前半が趣旨規範ブック、後半が司法試験の問題文+出題趣旨+受験生の再現答案1通で構成されている。国際私法は学説が乱立したまま固まっていない部分が多いので、このまとめ本を利用して自分が取る立場を固めて一気に覚えることが出来る。
 後半については解説が無いため過去問対策には不便。趣旨規範ブックとしての利用が主となる。
 過去問演習には別途ぶんせき本を利用するか、予備校の解説を利用する必要がある。


・国際私法case30

→一般的な問題集。考査委員をしている先生が最もマシな問題集と言っていたので利用。共著のため解説の質にばらつきはあるが比較的丁寧。

 

・国際私法判例百選

→百選の解説部分を論点解説書として利用し、直前期に1周読み込んだ。
 地裁、高裁の割合がかなり多い。判例百選と併用する短文問題集(判例百選で学ぶ国際私法)が最近発売されていたが、ローの授業とかなり重なっていたようにも思う。

 

 

司法試験の成績通知書が来たので参考に

公法系  BB

民事系  AAA

刑事系 CA

国際私法 60点弱 

 

論文順位 460位台

 

計 960点台

総合順位 430位台

刑法事例演習教材50番(乙の罪責)

刑法事例演習教材50番の乙の罪責に関して

結論としては262p右下から263p左上のブロックについては、従来の有力説(橋爪各論悩みどころ64p)のみで検討されており、令和2年判例を踏まえると結論が異なるのではないかという話です。

 

 

 

令和2年の判例は、先行する暴行としてAらの暴行(①とする)が存在し、後行する暴行としてAらの暴行(②)+被告人の暴行(③)が存在していた(②と③は共謀に基づき共同で行われた)事例。

  原審は、①と②③は同一の機会に行われており、①にはもちろん、②③の共同暴行には第六肋骨骨折が生じる危険もあったし、上口唇切創が生じる危険もあったとして、被告人に両方の傷害について同時障害の特例を適用した(つまり②と③は一体評価)。

 これに対して最高裁は、あくまで被告人の暴行(③)に上記両傷害が生じる危険があったことが必要として、被告人の暴行(③)には、肋骨骨折を生じさせる危険はあったものの上口唇切創を生じさせる危険はなく、後者について同時傷害の特例を適用できないとしている。

  そうすると、同時傷害の場面での傷害結果を生じさせる危険があるかどうかの判断は、ある部分の暴行が共同正犯になるからといってその共同暴行に結果発生の危険が認められればいいわけではなく、あくまで個人の暴行単体で結果発生の危険があるかを見る必要がある。

 

本件では先行する暴行につき甲乙に共謀があり、乙もその部分につき共犯として責任は負うが、それ以降の丙の暴行について甲乙丙などに共犯は成立しない以上、同時傷害が問題になる。

先行する暴行として、甲の頭部及び腹部に対する暴行(i)、乙の腹部に対する暴行(ii)が存在する。後行する暴行として丙の頭部に対する暴行(iii)がある(丁は省略)。

頭部傷害にもとづく死亡が(i)から生じたのか(iii)から生じたのかが不明な以上、甲の(i)のみで傷害致死の因果関係は認められず甲一人だけでは致死を帰責出来ないことが前提。

 そうすると同時傷害が問題となり、(i)と(iii)には頭部傷害により死亡結果を生じさせる危険があり、同一の機会に行われたので、甲と丙間には同時傷害の特例が適用される結果因果関係が推定され被告人側の反証を要する。

ここで乙の責任を考えると、確かに乙は先行暴行において甲と共謀し実行しているので、その部分については甲との共同正犯としての責任を負う。しかし同時傷害の特例を適用し、その要件としての傷害結果発生の危険性を判断する場面において、上述した通り令和2年判例が、共同暴行として危険性を評価する原審を否定し個々人の暴行から傷害結果生じる危険があったかを見ることを要求しているとすれば、腹部にしか暴行を加えていない乙に傷害致死の結果を生じさせる危険は認められないから、同時傷害の特例を適用できない。

 

R2の場合は

単独行為(Aら)→共同行為(Aら+被告人)という順番だったのが

本件では

共同行為(甲+乙)→単独行為(丙)となっており順番が逆なことでもしかしたら何か変わるのかもしれないがよく分からない。。。

 

あくまで個人の暴行の危険を見るのであれば、甲にも乙にも丙にも単独で結果を生じさせる危険性のある暴行が要求され、甲乙と丙が同一の機会といえる必要がある。

そうすると、令和2年判例に従うと乙には同時傷害の特例が適用されず、共犯として責任を負うのもあくまで本来の甲の暴行のみ(死亡については利益原則により帰責されない)であり、その後同時傷害で拡張された甲の罪責部分(反証ない限り致死まで全部)については責任を問えない。乙に傷害致死罪は成立せず、丁と同様に腹部に対する打撲の傷害罪のみが成立しうる(※)。と考えました。

 

見た人いたら直接でもLINEでもコメントでもDMでもいいので意見もらえると嬉しいです。

 

司法試験受験生の同期にこの話をすると、本設例には令和2年の射程は及ばず、むしろ上記結論(※)は誤っているという意見に接しました。結局議論は平行線で固まりませんでした。

 

 

 

京都大学法科大学院(京大ロー) 2021年度後期雑感(授業・定期試験)

後期が終わったので、授業と試験について記録しておきます。

 

授業・試験

ほぼ全て対面でしたが民事訴訟法総合①の授業のみオンラインでした(試験は全科目対面)

 

以下、授業と試験の感想です。

(選択)としていないものについては必修(基幹)科目です。

 


一週間の流れです

月曜日 刑事訴訟法総合② 民法総合②

火曜日 商法総合② 法曹倫理

水曜日 公法総合②

木曜日 (選択)国際民事手続法 民事訴訟法総合①

金曜日 (選択)国際私法② 刑法総合②

 

・月2 刑事訴訟法総合②(HS先生)

・前期と同様にケースブック刑事訴訟法のQをやります。前期と同じで全問扱うわけではなく、次回はこの番号を扱いますというお知らせが毎週出ます。なので先々予習するのは厳しいです。まあ毎年ほとんど同じ問題っぽいので上回生に聞くか先輩ノート見れば大体どれやるかわかります。

・分野としては公訴・訴因・証拠・その他という感じで捜査以外大体という感じです

ソクラテスは名簿順ですが、誰からスタートするかがランダムになってます。ただ同じくらいの周期で来るので何となく次当たるかなぁとはわかります。前期よりは詰められるというか、適当な答えでは放してくれないです。

・説明はわかりやすいので証拠分野とか特に強くなると思います。

 

試験は1問目が違法収集証拠、不任意自白の証拠、これらからの派生証拠の扱い、2問目が訴因変更の要否・可否と盛りだくさんでした。サクサク処理していかないと間に合わないと思います。

試験勉強では授業で扱ったQや判例を全部復習するのは時間と能力的に無理だったので、基本刑事訴訟法Ⅱの試験範囲分を何度も読むだけになりました。

 

 

・月5 民法総合②(NY先生)

・配布される問題を毎週一問ずつ扱います。前期と同じで民法総合事例演習の改定中の問題だと思います(授業中に言われるこれはだれだれが作った問題ですが……を聞いていると全部がそうではないのかもしれない)。

・後期は物権(担保分野以外)、不法行為、不当利得、法人を扱いました。最初の二つがメインで、試験もそこから出ました。

・授業方法が少し特殊で、名簿順にソクラテスをしながら進んでいくのですが、その内容を教授がパワポ画面にタイピングしていき徐々に授業板書が完成していくシステムでした(そのまま授業後に配布されます)。なのでクラスごとに若干の違いがあると思います(1組と3組を担当されていたはずです)。

ソクラテスはそんなに詰められないですが、前期同様に細かいQは存在しないので不意打ちに合うことがありました(2組は細かいQが書かれた追加レジュメを先生が配布していたようです)。民法は人と予習をやるのも良いと思います。

・回にもよりますがどの分野も普通に難しくて予習には結構時間がかかりました。

・参考資料が毎回4~5個、回によっては事前学習資料も配布されます。事前学習資料は最低限読んでおいたほうがいいです。授業後には前期と同様に要件事実表が配布されます。うちのクラスではそれに加えて前述のパワポスライドと授業録音も配布されました。

 

・試験は交通事故を題材にした不法行為で一問、94条2項類推による権利移転と売買による権利移転で対抗関係を作り177条の話に持っていく問題が一問出ました(他の構成もあるようですが)。どちらも授業で扱った内容に近いものが出ているので、授業の復習が一番試験勉強になると思います。714条類推の要件を普通に大間違いしていたので渋い点数が来ました。

 

火3 商法総合②(YT先生)

・商法事例演習教材の二部を扱います。教材を見てもらったらわかると思うんですが、内容的な意味では後期試験で一番しんどかったかもしれないです。

ソクラテスは席順に行きますが、ずっと同じ方向に当て続けるのかと思いきや、切りのいい部分で開始地点を変えられることがあり少し焦りました。

・そんな詰められないので心配はしなくていいです。

・前期同様に江頭はあったほうがいいです。

・前期よりも内容がニッチなものも多く、先輩ノートを参照する機会も多かったです。普段使いしている教科書類を見てもなおさっぱりわからないようなやつに時間をかけすぎてもあれですし、ある程度の答えを知ったうえで授業に臨んだ方が結果的に得られるものも多いと思います。授業は0.5回目の復習と位置づけて聞いていました。

 

試験は小問5つで監査等委員会設置会社における新株発行について1問、単元株、拒否権付種類株式、議決権制限株式について1問、株式交換契約の承認について1問、株式交換に際しての新株予約権買取請求について1問、多重代表訴訟について1問、でした。

事実までしっかり拾うという試験ではなく、各制度の仕組・条文をちゃんと理解しているかという試験でした。授業の復習をするのが第一だと思います(巻末の事例演習でもいいと思います)。

おそらくですが、試験の出来が大きく分散してしまってるのをぎゅっと縮めたうえでの相対評価になってそうです。(逆に前期の商法総合は団子になってるような気がします)

 

火5 法曹倫理(TT先生)

・主に弁護士倫理を扱います

・初め2回は大教室で民訴の先生によるガイダンス的な感じで、最後の方の2回も大教室で裁判官倫理、検察官倫理が1回ずつあります。それ以外の通常部分10回ほどはクラスごとに弁護士の先生による弁護士倫理の授業です。

・通常部分は5人程度の班が作られるのでそこでレジュメを作成して発表するのが30分程度あり、残りの時間を解説される感じです。発表は各班一回です。

・授業の数日前にレジュメを提出したら先生がコメントを付されるのでそれに対する回答も含めて発表する形式でした。授業で追加的なソクラテスとかは無かったです(クラスによるかも おそらくうちのクラスがいちばんやさしい先生だった?)。

・レジュメは弁護士倫理という本に載っている問題を検討する必要がありますが、弁護士職務基本規程という緑本と呼ばれる本がメイン教材になると思います。

 

試験は具体的な事例について弁護士倫理上の問題を指摘していく形で小問6問くらいだったと思います。試験対策としては①自分のクラスの学生が作った各回のレジュメを読む、②緑本を読む、③先生が配布されるパワポスライドを読むなど、色々なパターンがあると思いますが、自分は④他のクラスで配布されているそのクラスの先生が作った詳細なレジュメを友人に見せてもらってほとんどそれで勉強しました。めちゃくちゃありがたかったです。

 

 

水4 公法総合②(SM先生、DM先生)

公法総合②は前半が行政法総論、後半が憲法訴訟を扱いました。

公法総合は次年度以降なくなり、行政法総合、憲法総合へとカリキュラムが変更になっていると思いますので参考程度にお願いします。

 

 

・前半部分(行政法総論)は他クラスの行政法の先生が作ったレジュメを用いて授業が進んでいきました。予習課題・復習課題が各回レジュメと同時に配布されるので、その問題を前の席の人から順番に当てられるという形でした。半期のうち一回だけ当たり、全員使い切るとソクラテスはそこで終了し講義だけの授業になりました。

・ケースブック行政法が指定されますが、他の判例集でも問題ないです。自分は橋本先生の行政法判例ノートを常用していました。ただケースブック行政法みたいに長い判示の引用は無く、当たる時には原文を手元に置いておかないと答えられない場合があるので注意したほうがいいです。百選を使う場合も同じことが言えると思います。

判例の構造(規範の構造、規範と事実の対応関係)を重視しつつ、事例検討を意識した授業をしていただけるので、勉強になりました。時間の制約もありペースは早めでしたが学生目線の授業だと思います。

・試験は河川条例をベースにした事例で、審査基準が存在する場合の違法審査をする問題でした。

・試験対策としてはレジュメの事例をもう一度考えたり、演習書等で授業で扱ったテーマの事例演習をしたりするのがいいんじゃないかと思います。

 

 

・後半の憲法訴訟部分は違憲立法審査権、部分社会、憲法判断の方法、立法不作為などを扱いました。最後の数回は具体的な事例をベースに憲法判断の方法(全部違憲なのか部分違憲なのか適用違憲なのか合憲限定解釈をするのか適合的解釈をするのかetc..)について検討しました。

ソクラテスはクラスをいくつかのグループに分け、どの日にどのグループが当たるのかが先に指定されます(各グループ1回ずつでした)。その日のうちに何回か当たることはあります。

・レジュメをベースに授業が進められます。全てがソクラテスで進むわけではなく、講義しつつ時々レジュメのQをその日に当たるグループの人に振るという感じでした。

・最後の数回は具体的な事例をベースに憲法判断の方法について詳しく検討していくのですが、定期試験はそことは無関係な範囲から出る場合もあります(最高裁判所裁判官の国民審査をベースに立法不作為と抽象的違憲審査について考える問題が出ました)。

・回によっては「こういう問題が出たらこのように書きましょう」「このように論証しましょう」と熱心に教えてくださるのでその範囲から出そうな気がめちゃくちゃしますが、それ以外をおろそかにした結果試験は死にました。

・試験対策としては授業を復習するのがベストだと思います。

 

 

木1 国際民事手続法(NY先生 女性の先生)

・国際裁判管轄、外国判決の承認執行をメインに扱い、仲裁、二重起訴、国際司法共助etc..を扱います。

・レジュメを基に授業が進んでいきます。その回に扱う判例・裁判例に関して質問がされます。人数が少なく(8人くらい?)3回に2回、もしくは4回に3回くらいは当たってたような気がします。教科書としてロースクール国際私法も用いました(かなり古いのでAmazonとかで安く買うのがおすすめです。自分はAmazonで800円で買いました)。国際私法百選もあったほうがいいです。

・教授はやさしいです。

・試験は扶養料・離婚の国際裁判管轄についての大問が一つ、もう一つの大問は小問数個で構成されていて、懲罰的損害賠償の承認執行、司法共助、国際仲裁合意について出たと思います。幅広く出るので試験勉強はまんべんなくやったほうがいいです。手薄だった国際仲裁はわからな過ぎて泣きそうでした。

・対策としては授業の復習でいいんじゃないでしょうか

 

木2 民事訴訟法総合①(YK先生)

民事訴訟法の前半です、訴訟要件、訴えの提起、当事者、裁判所、弁論主義etc..を扱いました。教科書の前半部分ですかね。既判力や多数当事者訴訟などは来年前期の民事訴訟法総合②で扱います。

ロースクール民事訴訟法、ケースブック民事訴訟法を両方扱います(2冊あるのが曲者で、予習にかなりの時間がかかりました)。どの問題を扱うのかは一覧表が配られますが、分量的に全部はできずに次週はこれとこれと今日の残りをやりますみたいな感じで指定がされます。

ソクラテスは完全ランダムとされています。ただ一定のグループのようなものは存在するみたいで、自分が属するグループの人が当たり始めたらそろそろ来るなと身構えることはできます。

・2年次の授業で一番しんどかったです。

・Qへの回答をした後に追加質問のような形で問答が進む場合もあり、長い人では10分以上つかまることもありました。

・突然地雷を踏みぬくことがありますが、運が悪かっただけと割り切り、落ち込まないでください。

・法律用語の使い方は特に意識をしてください。正確な言葉選びを重視されます(前期の民法総合①も同じことが言えます)。

・授業を受けただけでその回の内容全てを理解しきることは到底無理だと思うので、気を落とさず、わからないことがあれば都度メールで質問していけばいいと思います。質問対応は非常に丁寧で回答文書がめちゃめちゃわかりやすいので積極的に利用するといいと思います。

 

・試験は反訴と重複起訴について一問、もう一問は講評が出ておらずイマイチわからないのですが、当事者適格、代理権に関するようなものが一問出ました。

・2問目もぐちゃぐちゃで1問目も反訴の仕組みを完全にミスって的外れな答えを連発したにもかかわらずBが来たので、授業と違い採点は甘めだと思います。

・試験対策としては広く浅く復習したほうが良くて、基本レベルの問題演習をしておくのが一番いいのかなと思います(ロープラ、ロジカル演習等)。授業の復習だけするのは時間を食う一方で狭く深くやることになり、ちょっと外されるときついので。

 

金1 国際私法②(NY先生 男性の先生)

・前期の国際私法①と同じ先生で授業の進め方も同じなのでそちらを見ていただければと思います。

・前期と比べ人がかなり減ったため(詳しく覚えてませんが履修者は10人くらいだった気がします)、ソクラテスはほぼ毎回当たりました。予習も結構時間を食われます。

ロースクール国際私法と百選は必須だと思います(百選は購入しない人はその旨伝えてくださいと言われていたので無くてもいいかも)

・前期と同様レジュメがかなり詳しめなのでずっと使っていこうと思っています。

 

・試験は協議離婚の準拠法、重国籍を絡めた離婚準拠法、未成年後見人選任審判の国際裁判管轄、未成年後見人選任審判の準拠法、相続準拠法が出ました。

・前期と同じように、授業終盤に扱ったテーマでもお構いなしに出るので全範囲の均等な復習が必要だと思います。授業の復習に加えてCASE30などをさらっと見ておくと楽かもしれません。

 

・後期は前期と比べて司法試験選択科目にすることを前提に受ける人の割合が高いと思います。

・国際民事手続法・国際私法は選択科目にしては珍しくソクラテスをする授業なのでその点理解した上で履修されることをお勧めします(他の司法試験選択科目は録音配布方式であったり完全講義形式のものが多いと思います。国際法とかは双方向かな?)

 

金2 刑法総合②(SJ先生)

・ケースブック刑訴のQを扱います。前期の先生より予習量は多い気がします。前期と比べると延長はそれほどなかった気がします

・時々事例検討回があるのも前期と同じです。

ソクラテスは曖昧な答えでは放してもらえず、ある程度は詰められますが、心配するほどではないです。

・比較的穏当な結論で解説していただけるので司法試験対策としても勉強になる点が数多くありました。

・質問対応は結構さばさばしてますが要点はきちんと解説してもらえるので積極的に聞きに行くと強くなると思います。

 

・試験は替え玉受験による文書偽造及び偽計業務妨害、替え玉受験の報酬に関する詐欺、替え玉受験の事実についての名誉毀損などが出ました。採点は前期ほどは甘くはなかったです。

試験対策としては普通に刑法事例演習教材などで事例演習をする+各論のあまりやらないような罪を復習しておけば大丈夫だと思います。

 

全体について

1科目増えていたこともありますが、前期より試験日程が過密でなかなかきつかったです。試験が無い科目を入れるのもアリだと思います(弁護士実務とかとってる人多いです)。

 

試験勉強にかけた時間は

商≧民訴>>民法≧刑訴>国際私法≥国際民事手続>公法、刑法、法曹倫理 

という形でしたが、結果としては

国際私法、国際民事手続法、法曹倫理>刑法>刑訴、商法>民訴、公法、民法

という感じになりました。ちょっと様子がおかしいですが、中身の重たさとしてはやっぱり民法・民訴・商法が頭一つ抜けてるのでみんな頑張る結果こうなってしまったのかなと思います。

R4京大ロー刑法メモ

諸事情によりR4京大ローの刑法を検討する機会があったのでメモとして置いておきます。あってるかは保証できませんので参考程度に。自分ならこんなこと書くな―という程度のやつです。

 

第一問

・乙の殺人罪
成人(不作為)を利用した間接正犯 (単独正犯の不作為犯はさすがに甲に作為義務無いかな インスリンの投与を指示する作為義務までは厳しいか。シャクティパットみたいに自己の管理下に置いたわけでは無いし。あと間接正犯にしなくても不作為を指示した行為で普通の正犯にする可能性もあるんかな)
 

① 成人について道具と考えるのは子供相手よりも難しいことを踏まえつつ、Aが妄信し言いなり状態であること+𠮟責や子の命の不安から精神的に追い詰められた結果行為制御能力を喪失したとして道具性肯定、道具であるAを利用した乙の行為(Aに指示しインスリンを投与させなかったこと?)に間接正犯の実行行為性を肯定。(ここでそもそもAの不作為について作為との構成要件的同価値性の話もする必要があるかも 母親、結果支配とかで簡単に肯定できるけど)

故意(死ぬと言われていることを知ってる→死ぬかも→認識あり)、結果はあるので殺人罪(間接正犯)の構成要件は因果関係以外OK 
 ※因果関係については甲とA(乙が利用している)が共同した不作為により生じた結果なので共犯のとこでさらっと書く?各々がインスリン投与したら十中八九生きてたと言えそうなので乙Aそれぞれでも因果関係肯定できるのかもしれない。


・甲の保護責任者不保護致死罪

甲は殺人の故意はない →甲は保護責任者不保護致死罪が成立する余地があるので検討
保護責任者の地位はあり(親 Aの一定の支配)、故意OK 不保護(インスリン投与しない)OK 結果もOK
※因果関係については↑と同じ


・甲乙の共犯関係について
 ②殺人罪の故意と保護責任者不保護致死との間の共同正犯なので部分的犯罪共同説によると重なり合いの限度で共同正犯となる 乙は保護責任者ではないので65条の身分犯と共犯の議論も一応いるのかな 保護責任者不保護致死は加重類型ではないから1項でOKって話?ここよくわからん 
ただそもそも故意が異なってて非身分者の方が大きい場合(本件)はどっちにしろ乙に殺人罪が成立してるから、65条無視して部分的犯罪共同説により保護責任者不保護致死罪の限度で共同正犯になると言ってもそれほど問題は無い?

③共謀 乙は甲に直接連絡しておらずAに連絡しているだけなので微妙、Aも共犯なら順次共謀として簡単に認定できるが、Aは不成立なので、犯罪不成立の第三者を介在した順次共謀? Aは適法行為の期待可能性(責任)が欠けているだけなので乙→(A)→Bの順次共謀でいいか。

基づく実行行為  インスリンを投与しないこと
正犯性(or正犯意思or重大な寄与) 乙のA利用行為の役割・寄与度も大きいし、乙の役割も大きいので両者ともOK
因果関係と結果OK


罪責 乙は殺人罪の間接正犯、甲は保護責任者不保護致死罪が成立しこれらは後者の限度で共同正犯となる

※現実の行為としては甲とAが共同してインスリン投与しないという不作為やけど、法的には「Aを利用した乙」と甲の共同正犯になるから答案構成がだいぶ難しい。共犯の話をどう組み合わせるのかわからない。各々が全構成要件認められるのであれば単独っぽく二つ並べた後に共犯ありました―て感じで書く?


①~③が論点っぽいところ

 


第二問

・ポシェット物色行為に窃盗未遂罪の可能性 
① 見えなくなった時点でポシェットに対するXの占有はあるか
 事実的支配と占有意思から総合的に判断  距離とかどれくらい離れたとかわからんけど、見えなくなった瞬間であれば戻ってくる可能性も十分にあり、それほど時間とか場所も離れてないと判断すると事実的支配肯定 占有意思はほぼ無いけど包括的なのは一応ある
→占有肯定
② 着手 物色時点で持ちさられる現実的危険ある
故意・不法領得の意思あり
→窃盗未遂罪肯定


・撮影は特別法あるみたいやけど刑法上は利益窃盗で不可罰か 特に思いつかない


・暗証番号の取得と二項強盗
 反抗抑圧程度の脅迫 故意 不法領得の意思はOK
③暗証番号の取得が利益の移転といえるか。甲はカードをすでに取得していることも考慮すると(この部分は窃盗既遂か)、暗証番号さえあれば払い戻しを受ける地位に立つことができ、利益移転の具体性確実性が認められる
 →二項強盗既遂罪(カードの窃盗既遂は吸収されて包括一罪)


・B口座からA口座への送金
強盗罪の成立
 暴行脅迫要件、故意、不法領得の意思はOK
④プチ論点として1項か2項か 現物を取得していないので厳密には利益強盗で2項、又は現金の交付と同視して1項で処理


・縛り上げる行為 一定時間の物理的拘束があるので逮捕

・逮捕緊縛行為が継続中のスマホ奪取と財産犯  
⑤典型論点としてある暴行脅迫後の奪取意思が生まれた場合には、新たな暴行が必要であるが、抑圧状態を維持する程度で足りるという話の発展型。しばりつけている行為が「(新たな)暴行」にあたるか
→理由付けは微妙やけど、逮捕監禁は継続的に侵害が発生していると捉え、常に(新たな)暴行が行われていると評価すれば1項強盗罪
 否定すれば(新たな)暴行は無く窃盗罪
⑥通報を防ぐ目的の奪取は不法領得の意思(特に利用処分意思)が無いのではないかという問題が生じ得る その物の効用を享受しているとは言えないので  ただ本件は最終文が付属してるから大丈夫かな

・ATMでの引き出し  
⑦銀行に対する窃盗未遂+不能犯の検討 具体的危険説 修正された客観的危険説どちらでも肯定


①から⑦が論証っぽいところ


1.物色の窃盗未遂、2.暗証番号の二項強盗(窃盗既遂が吸収され包括一罪)、3.口座送金で1項強盗(2項も可)、4.スマホ奪取で1項強盗罪(逮捕が吸収されて包括一罪?)、5.銀行に対する窃盗未遂 

これらの併合罪?? もっと包括一罪になるのかもしれんけど一応は1.ポシェット、2.Aの口座から払戻す地位、3.50万、4.スマホ、5.銀行の金と個別の法益が違うから併合でもいい気がしてる

 

以下、問題見たときに思い付いた参考裁判例

 

題材っぽい判例と裁判例

インスリン不投与の間接正犯と情を一部知る者との共同正犯

R2 8 24最高裁  (原審とこの論点については法学教室 2020年2月号 (No. 473) [2020] 有斐閣 刑法事例の歩き方 94pがわかりやすいけどそもそも論点として難しいのでよくわからない)


緊縛後の奪取はこれを想定? 

東京高判平成 20・3・19(高刑集 61 巻1 号 1 頁)(法学教室 2016年7月号 (No. 430) [2016] 有斐閣  71p   橋爪各論悩みどころ)「新たに財物取得の意思を生じ,前記暴行・脅迫により反抗が抑圧されている状態に乗じて財物を取得した場合において,強盗罪が成立するには,新たな暴行・脅迫と評価できる行為が必要であると解されるが,本件のように被害者が緊縛された状態にあり,実質的には暴行・脅迫が継続していると認められる場合には,新たな暴行・脅迫がなくとも,これに乗じて財物を取得すれば,強盗罪が成立すると解すべきである。すなわち,緊縛状態の継続は,それ自体は,厳密には暴行・脅迫には当たらないとしても,逮捕監禁行為には当たりうるものであって,被告人において,この緊縛状態を解消しない限り,違法な自由侵害状態に乗じた財物の取得は,強盗罪に当たるというべきなのである」 」


暗証番号の強取

東京高判平成21 . 11 . 16判時2103号158頁 「キャッシュカードを窃取した犯人が被害者からその暗証番号を聞き出した場合には,犯人は,被害者の預貯金債権そのものを取得するわけではないものの, 同キャッシュカードとその暗証番号を用いて,事実上, AflMを通して当該預貯金口座から預貯金の払戻しを受け得る地位という財産上の利益を得たものというべきである。」

 

京都大学法科大学院(京大ロー) 2021年度前期雑感(授業・定期試験)

前期が終わったので、授業と試験について記録しておきます。

 

同内容の記事を投稿している方も沢山いると思いますが、まあ人によって感想は様々だと思うので投稿しといてもいいかなと。

 

授業・試験

初めは対面で数回やり、途中からオンラインになり、また最後の数回は対面に戻りました。

試験は対面でした。

以下、授業と試験の感想です。

選択科目としていないものについては必修(基幹)科目です。

 

一週間の流れです

月曜日 民法総合① 刑事訴訟法総合①

火曜日 商法総合① 公法総合①

水曜日 刑法総合① 国際私法①

木曜日 経済法①

金曜日 民事訴訟実務の基礎

 

 

・月2 民法総合①(YK先生)

 ・主に契約法分野をやりました。あと不当利得ちょっとくらい。 

 ・ソクラテスは基本ランダムです。対面の時は今回あたる可能性がある人はこの20人ですってスライドに出されてその中から当てられていく感じでしたが、マイクの本数が理由でこの方式になったぽいので、普段通りだと完全にランダムなのかなと思います(何らかの法則はあるみたいですが)。

 ・民法総合事例演習を改正法に対応させるために改訂している最中とかで、その改訂予定の問題を使用して事例問題を毎週一問ずつ扱いました。民法苦手(嫌い)なのもあり、全問きつかったです。事例自体が難解な上に授業が要件事実どっぷりで進んでいくのでリアルタイムでついていくのは大変です。始まる前に要件事実の本を読んでおいたほうがいいです。

 ・予習はだいぶ時間かかりました。事例問題の末尾に参考・必読文献が載っています。全文は読まないにしてもどんな内容が指定されているかチラ見する程度でも予習が捗ります。(どんな論点が隠れているかわかるので)

 ・授業はだいぶわかりやすいので、ちゃんとやると民法が強くなるんだろうなあと思います。債権法改正にがっつり絡んだ教授から経緯や趣旨について生の話を聞けるのは勉強になりました。

 ・ソクラテスについて補足すると、要件事実をずらずらと答えさせるところに当たるとかなり苦しいです。それ以外についてはスライドを眺めてひねり出したら何とかなることも多いです。これは完全に何となくですが過去の学部ゼミ生には優しいような気がしました。でも同属性なのに逆に厳しくされているような人もいましたのでよくわかりません。

 ・その日の授業終了後に、当日扱った事例問題の要件事実表と、それに加えてうちのクラスでは授業スライドが配布されました。要件事実表はいうなればその事例の一つの有りうる答えが載っているようなもので、だいぶ助かりました。スライドも文句を言いつつ結局試験前にお世話になりました。

 

 試験は授業でやった論点が組み合わさったキメラみたいなやつが出ました。AさんがBさんと締結した請負と委任が混ざったような契約(請負委任の内容がACとの売買契約をすること)を解除する際の諸々の主張反論、、Cさんに対しても追完に代わる損害賠償請求するような事例だったと思います。要件事実ベースで答案を書くことが大前提の講評だったので少なくとも民法総合①ではそのほうがいいです(そうする人が大半だと思います)。普通に時間無くて二問目は全体の20%くらいしか書けませんでした。単位出たので死ぬほど感謝してます。

 試験勉強では授業の復習としてスライド・要件事実表を眺めてました。

 

・月3 刑事訴訟法総合①(IK先生)

 ・ケースブック刑事訴訟法から先生がピックアップしたQを扱います。前期は捜査全般でした。

 ・ソクラテスは席順にあてていく感じで、多少変なことを言ったとしても答えた覚えのない趣旨を酌み取ってもらえます。試験は辛い点数が来ました。無難なことを書いたつもりでいて試験後の満足感は全科目の中でもトップクラスだったんですが、点数は一番低かったです。

 ・大量の裁判例を扱い順に検討・整理していくため、きちんとやれば刑訴法が強くなると思いますが、それぞれの規範や射程を全部覚えるのはなかなかきついので、結局単純な学説や最高裁判例を丸覚えすることになりそうです。

 ・書籍化されている川出先生の判例講座が捜査編と非常に相性が良く、Qの答えが順番に書かれているような場所もあります(ケースブックと判例講座なので当然といえば当然かもしれませんが ※普通に著者にいらっしゃいましたね……)。基本書のみで予習するのと比べ格段に効率がいいです。川出判例講座は本自体も非常にわかりやすく、刑訴版の橋爪悩みどころみたいな感じです。東大教授凄い。

 ・試験は余罪取り調べ、捜索の範囲、被疑事実との関連性といった結構オーソドックスな論点が出たので薄っぺらい知識ではダメだったのかもしれません。試験前はアガルートの論証集を必死に読んでました。授業の復習を全部やる余裕はありませんでした。それが表れた点数だったかもしれません。

 

・火3 商法総合①(KM先生)

 ・商法事例演習教材を前からやっていきます。

 ・授業は、基本書知識については先生が解説してくださる部分もありつつ、Qを席順に当てられます。授業も分かりやすく、シンプルに商法の事例問題が強くなると思います。基本書一冊で十分に予習対応可能です(が、○○については江頭何p載ってますというのを頻繁におっしゃられるので、参考書といいつつ江頭も必須のような気がします。 普段使いの基本書は紅白本です)。

 ・後期は扱うテーマがマイナーで大変との噂ですが、前期は超メジャー論点の寄せ集めという感じで、きちんと授業ノート作ると司法試験まで使えそうです。

 ・試験もだいたいが典型論点の寄せ集めという感じで、非公開会社における株式発行の無効事由、譲渡承認未了株主への議決権行使と裁量棄却、利益供与及び損害賠償とそれについての責任限定契約などが出ました。結構書くことはあるので条文当てはめつつ各論点をサクサク倒していく感じです。全体講評では細かい事実をしっかり使えという趣旨のことが書いてありますが、全部書ききってなおかつ事実まで評価しつくすのは筆の速さが足りませんでした。

 ・試験対策としては授業の復習が演習するのと同じ効果になるのでそれをしたうえで、事例演習教材の途中にある解説付きの「演習」部分を解きました。過去問も数問解きました。

 

・火5 公法総合①(NT先生)

 ・行政救済法全体を扱います。ケースブックが指定されますが実際に扱うことはありませんでした(この判例はケースブック何番という形でのみ使いました)。

 ・教授のワールド全開で授業についていくのがかなり大変です。前期の授業の中で初めて聞く内容が一番多い科目でした。藤田行政法等が指定されていますが特に使いません。教授によるとこの世に行政法の教科書として認められるものは10冊もないらしいです。ソクラテスする回の方が少なく基本的に講義形態で、問いを扱ってその答えを聞かれる回が数回あったのですが、問いが難しすぎて何もわからないものが多かったです。

 ・授業内容自体は説得的な部分も多く非常に面白かったのですが、そのまま司法試験対策に直結するかは微妙です。完全に教授の体系に乗っかれるのであればそれで良さそうです。普段使ってる教材の論証方法に、授業で扱った考え方から自分でも使えそうな部分を組み込んでいく感じにします(定期試験については授業で習った話で書いたほうがいいと思います)。

 ・試験は応答の処分性が一問、税務署職員の行為についての国賠が一問でオーソドックスな感じでした。点数は別にして単位は来るようです。とりあえず授業で習った枠組みと規範を詰め込みました。過去問数問解きましたがそれ以外の特別な演習はしていません。

 

・水2 刑法総合①(TK先生)

 ・ケースブック刑法(塩見他)を扱います。同じ名前の本が弘文堂からも出ているので間違えやすいです。前期は共犯以外の刑法総論を扱いました。

 ・ソクラテスは名簿順でした。CB回を数回→事例1回→CB回を数回⇒……という形で14週授業があります。事例回で大量の生徒を消費して名簿の後ろまで使い切ってしまうため、名簿の後ろの方の人は毎回事例しか当たらず、前の方の人が毎回CBのよくわからないQをあてられるという不遇な状態でした。

 ・授業形態としては、2,3回ケースブックのQを扱い、1回事例問題の検討を行い、の繰り返しです。正直ケースブック部分については細かい学説や裁判例を駆け抜けていくため、元々難解な刑法総論が更に深みにはまります。めちゃくちゃ予習して各学説/裁判例を一応は頭に入れたうえで授業に臨むと強くなるのかもしれませんが、刑法にそこまでリソースを割けないのでCB部分は微妙でした。刑法総論は橋爪先生の悩みどころがおすすめです。

 ・事例回は半強制的な事例演習と思ってやれば勉強になると思います。授業中に事例の後半が終わらないことも度々でしたが、その場合は疑問個所をメールで聞けば丁寧に返していただきました。

 ・試験はこれまでの年度と比べ圧倒的に簡単で正当防衛、不作為犯、過失犯の基本的な知識が聞かれ、事実をどれだけ拾えるかという勝負になりました(うちのクラスの出来が悪く、難しいのを出すと爆死することが予想できたからだという話を他クラスの人から聞きました………)。

 ・試験勉強は授業の復習というよりは刑法事例演習教材などで普通に演習することをお勧めします。過去問を数年分と、自主ゼミで定期的に刑法事例演習教材は解いていました。読書としては前記事でおすすめしている悩みどころと呉基礎本を読んでました。後々思い出しましたが、十河先生の刑法事例演習が出てすぐに1周読んで刑法を思い出してました。

 

・水5 国際私法(NY先生 男性の先生) 選択科目

・学部で取っていたのもあり選択しました。ケースブック国際私法、国際私法判例百選、LQ国際私法を使います。選択科目にしては珍しくソクラテス方式でした。学部よりも事例に寄った形で分かりやすかったような気がします。

 国際民事手続きは数回軽く扱い他は準拠法関連でした。反致のような難しい論点は後期に回されており、準拠法選択は財産法などがメインでした。家族法も後期です。

 他の選択科目と比べると覚える量はやっぱり少ないのかなという感じです(次の経済法も少ないような)。ただ他の科目とはだいぶん違う考え方が登場するので、ある合わないがあるやもしれません。

 司法試験を国際私法にするなら後期の国際私法② 来年度国際民事手続法、国際取引法等もとった方が良さそうなんですが大変なので悩んでいます。

 試験は大問1の中で承認執行と国際裁判管轄の軽い事例が一問ずつ、大問2が特徴的給付、分割指定、実質法的指定(or抵触法的指定)に関するもの、大問3で公海上不法行為準拠法、先取特権と債権譲渡の優劣でした。

 書くことはもりもりという感じでしたが、授業でやったことからしっかり出ているので怖がり過ぎなくてもいいかもしれません。民法が嫌いだったり覚えることが多いのが嫌で、倒産や労働を避けたいという人にはお勧めします。人数は20人弱だったと思います。

 過去問を友人と数年分解きました。演習書はやる余裕ありませんでした。

 

・木1 経済法①(WM先生) 選択科目

学部ではとっておらずローで初めて取りました。教科書は泉水他「独占禁止法」弘文堂を使いました。受けたことないですが予備校の授業ってこんな感じなのかなという授業でした。大事な規範部分や定義を繰り返し、教科書の重要な部分を強調し、頻出分野を厚く説明するといった形式で、授業中の事例検討や答案の書き方の指導も熱心な先生です。

 今年初めての試みのようでしたが、基本的な講義は事前配布した録音を使い、木1の授業時間中は事例の検討、最新の話、応用的な話のみをする形式でした。非常によかったです。

 経済法という科目自体についてはどこかのサイトでみましたが刑法と似ていると思います。問題となる行為がどの類型に該当し独占禁止法に違反する可能性があるかを見定め、要件を充足しているかを検討、違反となった場合にどのような罰則等がされるかまでを条文に即して起案する形です。しかも、(少なくとも前期の範囲では)刑法でよくある条文から大きく離れた論証がほとんどなく、構成要件該当性のみを検討する刑法みたいなイメージです。

 試験は範囲をめちゃくちゃ絞っていただいたので、教科書でいうと数十ページ分なのでは?という量でした。その宣言通りの範囲から共同行為と企業結合が一問ずつ出ました。後期は逆に教科書一冊分らしいですが。

 試験勉強は演習書の範囲部分を解きました。

 普段から添削もしていただけるのでホスピタリティがすごいです。おすすめです。

 

・金4 民事訴訟実務の基礎(KT先生)

 ・14回のうち大半は要件事実について学びます。弁論準備手続き等についてさらうのが1.2回と、執行保全について扱うのが1回ありました。要件事実部分は予習を前提とした授業と↓の課題の解説授業が半々くらいあります。

 ・5回くらい?要件事実の整理と整理した理由について書く起案提出(提出しなかったら1点ずつ引かれる、おそらく全員毎回出してました)が課されます。

 ・要件事実についての本(大島本や新問題研究など)を授業開始前に読んでおくのと完全な初見とではかなり違うと思います。これは民法についても同じです。

 ・最初の2回くらいは基礎中の基礎という感じで、「一週間の中で一番ちょろいんちゃう?」と友達と話していたんですが、回を追うごとに難しくなっていきました。課題についても3回目くらいから一気にレベルが上がりしんどくなりました。鬼門といわれている理由がわかりました。終わってから見ると全科目の中で一番きつかったです。

 ・試験については、要件事実の整理と理由について書く大問1、弁論準備手続きについての大問2、執行保全についての大問3問(小問2つ)が出ました。講評での要求レベルが高いのもあり、どれくらい書けば耐えていたのか、例として少し詳し目に書きます(問題と講評を手元において参考にしていただければと思います)。

 1問目は大きく言うと債務不履行解除とそれに対する弁済期の合意や同時履行といった抗弁、相殺の再抗弁などがでてました。時間の関係で弁論準備についての2問目丸々と執行保全の3問目の小問1が白紙になってしまったので流石に落単だろうと思っていたんですが、単位来てました。

 

・1問目の理由部分は時間ギリギリに殴り書きで1p半ほど書いたんですが、今自分で見返しても読めない字で埋め尽くされているので、それでも単位が来たということは結局1問目の主張整理(要件事実の適示)が一番大事なのではないかと思います。

 要件事実部分は請求原因が二つある問題でしたが上位の人以外は一つしか適示していないらしく、自分も当然ながら履行遅滞解除のみを書きました(もう一つは不能解除らしいです)。

 訴訟物、請求の趣旨、請求原因(履行遅滞解除)の適示事実が幸いにもほぼ全てあっていて、これが単位が来る方向に響いたのかもしれません。

 抗弁は再抗弁は、そもそも書いていないもの(先立つ不履行解除の抗弁)、要件事実の一部を落としているもの(弁済期の合意の抗弁:抗弁中の商事代理は書けていたが一部既履行部分について抜けていたなど、相殺の再抗弁:意思表示書き忘れ)、書けていたもの(同時履行)という感じでした。

 試験問題を見ると大問ごとに点数は振ってありますがその通りに採点された場合確実に単位は来ていないと思うので、明らかに大問1しかも主張整理の比重が高いです。

 

 

全体について

 期末試験は基幹科目については複写式なので複写したものが手元に残ります。講評も全科目詳しいの出してやるんやからしっかり復習しろよという圧が伝わってきます。

 ただ講評、点数、自分の答案を見比べて復習できるのはだいぶん助かります。

 民・民実は授業の復習が優先だと思います。逆に刑は演習中心でいいと思います。ただ試験中に民法と民実もしっかり演習したほうが良かったと後悔したので、結局当たり前なんですが全科目過去問演習とかやったほうがいいです

 

 入試の点数は前の記事で記載していたんですが、期末試験の点数についてはとりあえず載せません。

 どれくらいのこと書いて何点来たのか詳しく知りたいというのがあれば基幹については複写答案もあるので共有可能です。コメントかツイッター(@shoushouga)で言ってもらえれば。選択科目はここで書いた以上のことは忘れました。

 

ひとまずここで終わります。

わざわざ足を運んで読んでいただきありがとうございました。

京大ロー入試 R3(令和3年度) 得点開示 [京都大学法科大学院 法曹養成専攻]

令和3年度京大ロー入試の得点開示を載せておきますので参考にしていただければと思います。

 

筆記試験の得点

憲法:60/100

行政法:28/50

民法:60/100

・民訴法:30/50

・刑法:67/100

・刑訴法:26/50

・商法:60/100

 

筆記試験の合計点:331/550点

得点率は60.1%でした

 

 

 

書類点

308.000

 

(内部生向け)

書類点の計算方法について 

 専門科目の成績のうち3年後期までの素点平均は76.41...点(1299点÷17科目)でしたので4倍すると約305点となります。

 一方4年次前期にA+を二つ取ったのでこれを82点×2と換算して4年前期までの素点平均を計算すると77点(1463÷19科目)となり、4倍が308点となります。

 

この結果からは、基本的に内部生の書類点は素点平均×4で、イレギュラーであった4年次前期はアルファベットの評定ごとに点数が割り振られているのかなと思います。

(もちろん4年前期の成績が内部では点数化されており偶然2科目の合計が164になった可能性や、そもそも単純な4倍ではない可能性もありますので参考程度でお願いします)

※本来は専門科目試験は具体的な点数が成績表に表示されるのですが、オンライン試験の影響で4年次前期は得点の公表がなく、A+,A...というアルファベット評価のみでした。

 

※2021年2月18日追記 

四回前期の点数をA+を82の固定点で換算すると4倍にならないという話を目にしました。

そうすると、4回前期の成績は成績表記はアルファベット表示のみですが、裏に存在する素点の2科目合計が164になった可能性が高いです。

 

 

 

 

・素点平均について

 自分は専門科目の素点平均が77でしたが、内部生のロー受験者のなかでは普通程度だと思います。76. 77.78.79.あたりがボリュームゾーンかと思われます。80はちらほら聞きますが81を超えている人は少ないです。

(以上は4年次の志望者全体の話であって、3年次に出願する人は素点平均80台の人がわんさかいるはずです)

 

 

総点

639.000点

順位:28

 

これより10点で15位くらい順位が上がり、逆に10点で20位くらい順位が下がっているような印象です。中心が団子になっているのでしょうか。

 

実際の手ごたえ的なものやどのようなことを書いたかについては、ひとつ前の記事で軽く残してありますので、点数と合わせて参考になればと思います。

誤字等あればご指摘ください。Twitter @shoushouga

京大ロー入試 R3(令和3年度) 使用教材・答案構成・感想等 [京都大学法科大学院 法曹養成専攻]

京大ロー入試に無事に合格していたため、1か月以上経過してはいますが使用教材/各科目について受けた感想/覚えている限りの答案構成を書き残しておきます。

問題を捨ててしまい記憶を頼りに書いているため、書いた論点全てを記載しているわけではなく、特に印象深かった部分が中心になります。

何か思い出すたびに補足していきます。

 

得点や順位は開示が来たらおそらく載せます。真ん中くらいだと嬉しいです。

 

自身の感触と結果を見比べ今後に生かすために、また来年度以降受験を考えている方や再トライアルされる方などへの助けにもなればと思い投稿しました。 

 

書き手のプロフィール:京大法学部卒業予定、ローへの進学を意識したのが学部2年中~終盤、予備校の利用は無し。※予備校本は使用

Twitter @shoushouga

 

 

使用参考書

憲法 

 基本書等

・日評ベーシック憲法Ⅱ★とこれを用いた共著者のうちの一人(曽我部先生)による講義

・答案の型は憲法上の権利の作法(小山剛)★を通読

・参考書として憲法判例の射程★・憲法論点教室を随時参照

・辞書代わりに工藤ほか憲法Ⅰ基本権

・統治の勉強は趣旨規範本公法系の統治部分、呉明植基礎本シリーズ憲法の統治部分

 

 演習書

憲法演習ノートの人権部分

 

民法 

 基本書等

総則と物権(担保含む)が学部のレジュメ(それぞれ潮見先生、山本敬三先生)

債権総論がプラクティス民法

各論が潮見イエロー2冊。不法行為・不当利得・事務管理は軽く一読程度

※総則・物権・債権総論は各教材に沿って進められた授業録音を併用して学習。

 

・中田契約法を辞書代わりに利用

家族法の基本書利用は特になし(日常家事債務や親の代理権、代理権の濫用辺りは直前期に軽く確認)。

・全体のまとめとして趣旨規範ブックの改正民法対応版を直前のチェックに利用

 

 演習書

ロープラ民法Ⅰ・Ⅱ 全問解いたわけではなく、半数ほどをピックアップ

 

・刑法

 基本書等

・ベースで使ったもの 呉明植シリーズ★総論・各論、

・第二の基本書として 刑法総論講義案[第4版]、西田刑法各論[第7版]

・重要論点について随時参照 刑法総論の悩みどころ★(本)、刑法各論の悩みどころ★(雑誌記事)

・基本刑法は一部について京大の先生方が好まないという話を聞き使用せず

 

 演習書

・刑法事例演習教材★をメインに利用するも20問強しか終わらず、刑法演習サブノート210問の各論部分を直前に一周

 

・商法

 基本書等

・ベースで使ったもの 高橋美加ほか会社法★[第2版]

・論点整理にアガルートの合格論証集商法・民事訴訟法★

・手形小切手 基本講義手形小切手法(早川)

 演習書

ロープラを使うつもりであったが他の科目に追われ数問しか解いていません。

結局会社法事例演習教材★を一応利用することに。答えが載っている演習部分で学部レベルと判断した問題のみさらっと一周。手形法の演習は時間的に間に合わず無し。

 

民事訴訟

 基本書等

・ベースで使ったもの 民事訴訟法[第3版]長谷部由紀子

・論点整理としてアガルートの合格論証集

 

 演習書

特になし

 

刑事訴訟法

 基本書等

・ベースで利用は刑事訴訟法の思考プロセス★、足りない部分はリーガルクエス刑事訴訟法で補完。

・論点整理としてアガルートの合格論証集

 演習書等

事例演習刑事訴訟法(古江本)★ざっと一周読む

 

行政法

 基本書等

・学部で行政法を履修しておらずサクハシ行政法を用いて独学で進めていたんですが正直厳しかったです。

横浜国立大学の板垣勝彦先生がYouTubeにあげている行政法の授業で学習し、使用教科書も板垣先生の公務員を目指す人に贈る行政法の教科書★

判例集として行政判例ノート(橋本)を利用。

 演習書

基礎演習行政法 土田 一周

 

 

さぼり癖からか演習が一周終わってなかったり一切手を付けていない科目があったりするので、他の人と比べると演習量が若干少ないかもしれません。

 

アガルート論証集については適宜基本書等で修正していく必要があると思いますが、有効でした。ハンドブックは細かい理由がないですがまとめ本としてはかなり有効でした。

★が好きな教材です。

その中でも斎藤先生の「刑事訴訟法の思考プロセス」、橋爪先生の「刑法総論(各論)の悩みどころ」、横大同先生他の「憲法判例の射程」が好きです。

 

なお、院試前には少ししか読んでいなかったのでリストには挙げませんでしたが、憲法答案の流れや審査方法を手っ取り早く理解するには駒村教授の「憲法訴訟の現代的転回」(日本評論社、2013)が良いのでは無いかと思いました。

 

最後に

令和三年度京大ロー入試 感想 答案構成

 

公法系

 行政法  

ただの原告適格で安心したものの思ったより時間がかかりちょうど一時間ほどで書き終えました。ゴミ回収所の設置、骨董屋の許可、火災が起こる可能性のある工事の3問があったと記憶しています。

 9条を適宜引用しつつ原告適格の規範を書き、道路法の目的規定、文言などから往来者や居住者の生命身体の被害や交通の便は個別的に保護しているが、単なる財産的利益や生活環境は保護されないとしたうえで個別の検討を開始。問題文に掲載されていない関連法規や他条文の引用はしませんでした。

 一つ目はゴミ収集車の騒音やゴミの悪臭が蓄積したら人体への影響が大きく非侵害利益を生命身体と言えそうではあるが収集は週に数度かつ定期的、加えて短時間であることから被害が蓄積したとしても被侵害利益は生活環境に留まると認定、原告適格を否定。二つ目は財産的利益の侵害に留まるため原則否定し需給調整の目的も特に見当たらずやはり原告適格否定。三つ目は生命身体が被侵害利益となるため当然肯定

 (2021 10 12細かい条文に即して個別的利益を認定することがほとんどなく、権利利益の性質からふわっと決めてしまったので点数が伸びなかったのだと思います)

 

 憲法 

人権の問題を一読し少し考えたうえで放置して統治を先に解くことに。問題提起として内閣に決定権があってよいのか、限定してよいのかの二点を挙げたうえで、7条説を書き一点目を肯定、民意の反映という解散の趣旨と問題文の限定は相容れないことを理由に二点目で違憲。69条については触れられませんでした。

 人権は年齢制限から14条を思い出すことができず、公務に就く権利ということで13条、22条、25条を想定し結果として13条を選択。よくある人格的利益説の規範を書いたうえで、公務の就労は22条が保障するような単なる職業に留まらず国家機関の一員として自己の生を全うすることは人格的生存に不可欠のようなふわっとした理由付けで人格的利益に。一定の年齢以上は不可能という規制様態の強さも肯定。一方で公務員の育成効率等は実際に公務員として現場で働いている者が最もよく把握しており(専門的裁量)、国家運営に直結するため(政策的裁量)違憲審査基準を緩和、厳格な合理性基準で審査。

 目的は公務の円滑な遂行であり、円滑な遂行は結果的に国民全体の利益に資するとして目的の重要性を肯定。手段の適合性は問題文にある理由を引用して肯定、必要性は代替手段を提示して(更なる個別審査などであったと思いますが不確かです)、その手段ではコストが過大で結局円滑な遂行を妨害することになるため目的が達成できない。よって必要性も肯定

結論 合憲

憲法は14条、22条で書いている人が多いと思います。

 

民事系

 民事訴訟

勉強不足のため全然わかりませんでした。前半は追認の条文を引くだけ引き、手続きを説明しました。一部追認については何も知らず妄想で回答。一部を認めてしまうと訴訟無能力者を利用する試験的な訴訟が可能となってしまい、追認する側に圧倒的に有利な結果を導くから信義則(2条)に反するとして認められないと結論付けました。

 民法

第一問、1問目については音楽機材が抵当権の目的物になるか(従物とかの話)、分離物と登記の衣の話、黙示の合意があったか(そもそもこの場面で黙示の合意という概念が登場してよいか、本件はあったか否か)、最後に不法占有者に対する妨害排除請求の要件設定およびあてはめを行いました。第一問2問目は正当な事由のある占有者に対する要件とあてはめを書いて終わりました。

(2021.9.3  抵当権の範囲の話と、対抗要件として抵当権登記があれば対抗できる範囲の話を少しごっちゃにして書いたかもしれないです。登記の衣といっているので対抗要件は分離・離隔したら無理という話はしているはずなのですが、そもそもの目的物の範囲について一旦不可一体物(370)であれば分離・離隔しても対象となるという話をしたかどうか怪しくなってきました。目的物の範囲に関して黙示の合意の話はしているのでその前提としてさらっと書いていたか、落としていたか曖昧です)

 

第二問 

 1問目については119条がちらついたものの適用場面ではないと判断し無視。よくわからないが他人物売買であるから息子と相手方の間に結ばれた売買契約は追認の有無に関係なくずっと有効である。権利者である父親の追認は何かを有効にするものではなく、父親から息子に対して新たに譲渡がされたことを意味すると結論付け、問題文に沿って回答。

 2問目については転売利益が特別損害にあたるか、原状回復に基づく支払い済のお金の返還、不動産が権利者に直接返されたため他人物売買の当事者であった息子が返還請求権を行使できるのか(できないと結論)、等を書いた記憶があります。

民法は問題すらうろ覚えですの第二問が特にボロボロだったと思います。

 

刑事系

 刑事訴訟法

刑法をチラ見したところ第一問も第二問も罪責を3人ずつ聞いてきてたのでこれは時間がまずいと考え先に刑訴に着手。要証事実によって伝聞の場合と非伝聞の場合があるため、それぞれの場合について証拠として使うことができるようになる条文を引き写すだけの作業になってしまいました。

 (2021 10 12 点数が伸びなかった理由はよくわかりません)

 刑法

第一問目

記号とか忘れたので誘った人(陽動みたいなことした人)、誘われた人1、誘われた人2(誘われた人1が帰った後もさらに犯行続けた人)とします。

 

誘った人と誘われた人1, 誘われた人2 が邸宅侵入罪と窃盗未遂罪の牽連犯の共同正犯。

論点として書いた記憶があるのは

0.順次共謀の可否を含めた共同正犯の成立

1.鍵が偶然空いてて人の看守するといえるか  (肯定した)

2. 財産的価値のない絵が財物といえるか  (答案では肯定したが、次の着手の際に財物=絵とすると絵を盗もうとしていないため着手が認められないような気が、不要か

目的物が違うのは錯誤になるだけなのでやはり言ったほうがいい…?そうすると不能犯の検討の方が不要?)

3. 実行の着手があったか  (絵だけを考えると無理そうであったが、そもそも犯人らは一般的な金銭を想定していたため、不能犯にならないかの検討をし、肯定)

 

誘われた人 2 の更なる犯行は、誘った人、誘われた人2にも客体の錯誤として故意が認められるが、共犯の射程が及ばず誘われた人2のみに帰責、犯行の具体的内容は忘れました(強盗殺人ですかね)。

 

第二問目

フェイクポルノ書いた人:名誉毀損罪と業務妨害罪の観念的競合 

 構成要件に普通にあてはめアイドルのそのような行為をしている動画は外部的名誉を抽象的に毀損するし、アイドル活動という業務を抽象的に妨害する行為でもある。更に名誉棄損については公然性もある、正当化もないとして両方肯定。

 

動画を消すと騙して金奪った人:詐欺罪、二項強盗殺人を検討した上で殺人

 100万円については普通に詐欺罪肯定、振り込みは1項説と2項説があったような気がしたので現金と同視できるという理由付けで1項詐欺罪

 アイドルが派遣した元やくざを刺殺した行為について、一時的に弁済猶予されることが財産上の利益といえるかどうかを検討、請求権は現にアイドルの元にあり身元も特定されているため再度請求される可能性が高い、よって移転が具体的・確定的とはいえず財産上の利益の移転は無し。ただの殺人罪が成立

(もしかして強盗関連の未遂罪も成立?)

アイドル:

 一人目に対して金銭を要求した行為について恐喝未遂

金銭を要求する手段として行う適法行為の告知も恐喝罪の脅迫にあたるが、本人が畏怖しなかったため未遂に留まる。ただの削除要求ではなく裁判をちらつかせた脅し行為と過大な額は社会的相当性を欠き35条の正当化は無し。恐喝未遂成立。

 2人目に対して元やくざを送った行為について恐喝

恐喝罪の教唆犯の検討(共同正犯にすべきでした)。構成要件には該当しそうだが、100万円という確定した額、暴行は無しという点を考慮すると社会的相当性があり35条によって違法性が阻却されると構成。不可罰。

 

刑事系は機械的にあてはめていく作業が多く、深い論点が見つからなかった印象です。

第一問の邸宅侵入の可否と窃盗の着手辺りは立ち止まってしまいました。

(2021 10 12 問題を見返すと大体の罪責や論点は書いていたようでありがたいことに点数が出ました)

商法

 会社法

第一問

1. 重要財産の譲渡該当性、決議の瑕疵、影響が無かった特段の事情があるか、決議を欠く代表取締役の行為と93条ただし書

2. 定款に定めがある場合

重要財産該当性の判断で定款の存在を考慮することしか思いつかず、1と同じようなことしか書けませんでした。349条の存在を完全に忘れていました。

3. 代表取締役による代理権の濫用と107条類推適用

第二問

23条の2を適用することしかできませんでした。

小問2も詐害行為取消権の無資力要件をイメージして資金と残存債務の差のようなものををごちゃごちゃ考えていたら終わりました。

 

手形小切手法が出ないことに安心したものの商法は全体的に不完全燃焼感がありました。

 

総括

 試験当日の感想としては、できたと感じる科目は少ない一方で全然できなかったと落ち込む科目は無く、結論として耐えたような気はしていました。

 

刑事系、公法系は過去問と比べると感触がよかったのですが、問題自体が易化していたのもあると思います。

民事系は民法の第二問と民事訴訟法がよくわからなかったんですが他の受験生もそうだと言い聞かせました。

商法は一問目の2と二問目が感触としてはよくなかったです。

 

 ここまで読んでいただいた方ありがとうございます。問題を間違えていそうなど、明らかに違っている箇所がございましたら指摘いただければと思います。